「東海」呼称が海外地図に増殖 韓国、官民挙げ日本海との併記呼びかけ 創氏改名に触れ名称「改変された」とイメージ戦略

写真拡大

 国際社会の中で「日本海」の韓国側呼称「東海」が徐々に浸透し、海外で出版の地図などに日本海に東海が併記されるケースが増えている。

 日本海を東海表記に変更させる活動を、韓国が官民を挙げて展開していることが背景にある。

 韓国が東海の名称を国際社会で訴え始めたのは、北朝鮮との国連同時加盟(1991年)後の92年から。戦後半世紀近くにわたる“沈黙”の後、突然「日本海」への異議を提起した。

 韓国は東海が2000年以上にわたって使用された記録があり、歴史的な正当性を保有すると主張。「複数の国に分割されている地形で合意がない場合、それぞれの名称を併記すべきだ」とする国際決議の存在を強調する。

 日本はこれに対し、19世紀初頭までに、国際呼称として欧米人によって日本海が確立され、他を圧倒して使用されるようになったと反論。国連など国際機関の標準地名として日本海の単一表記が明示されているとし、東海の併記に反対する。

 国連事務局は「いずれかの立場に与するものではないが、併記は慣行を破ることから中立を維持できない」との考えを表明している。

 「東海の名を国際的に知らせる機会を奪われた」。韓国外務省が今年2月に公表した広報用動画は冒頭から、呼称問題と一切関係のない日本統治時代の創氏改名について説明。「日本海は日本によって改変された名称」とのイメージを植え付ける戦略だ。

 現在は韓国語・英語の動画を公開しているが、今後は日本語、中国語からアラビア語まで10の言語でも制作し、国際社会へのPRを進める方針という。

 国際会議での場でも攻勢を強める。4月には、世界の海域の名称を記載した刊行物を出版する「国際水路機関(IHO)」の総会で韓国の求めに応じ、日本海の呼称問題について非公式の協議体で議論することが決まった。

 協議体の具体的な構成などについては決まっていないが、不公正な構成国により日本側に不利な内容が次回総会で報告される懸念もある。外務省の担当者は「協議体は過去に設置された分科会などよりも『格』が低く、どう扱うかも決まっていない」とし、非公式協議が与える議論への影響を否定する。

 こうした公的な訴えと並行し、韓国政府は「世界のメディア、地図製作社、出版社などへの持続的な交渉」の名の下、民間への圧力も強化している。

 日本海と東海の併記は世界各国で急速に広がっている。日本政府が2000年に韓国、北朝鮮を除く世界の主要国60カ国の地図を調査したところ97%以上が日本海を単独表記し、そのほかの表記は2%台にとどまっていた。しかし09年の韓国側調査では東海の併記が約28%に達したという。

 政府の動きを強力に支えるのが、世界各地の韓国人コミュニティーだ。反日活動を行う代表的な民間団体で10万人規模の会員数を誇る「VANK」では、各会員が自発的に地図の発行元などに働きかけ、東海表記に変更を要請する。

 「韓国人にとって、日本海を東海に変えることは、日本の帝国主義の残滓(ざんし)を清算し、韓民族のアイデンティティーを回復することだ」。同団体は今月1日に開設した日本海呼称問題のホームページで、呼称変更の意義を強調する。

 韓国メディアも「民間で東海が使われるようになれば、IHOも名称に反映させるようになる」とする識者の声を伝え、こうした活動を後押ししている。

 韓国側の動きに対し、日本も対策を強化。外務省は今月までに、インドやオーストラリアの大使館を含む70以上の在外公館で、ホームページに東海表記の地図について情報提供を求める在留邦人への呼びかけを掲載。問題のある地図について、発行元に訂正を申し入れる方針だ。(時吉達也)